【コラム】「古典音読について」

(「台詞の自然を考える」③はまたの回をお待ちください。)

古典はそもそも我々共通の財産であるが、興味を持たぬ人が多い。今の日常語と違いすぎる点がある。先ず語彙が違う。分らない。用法が違う。読めない。生活が違いすぎ馴染まない等々…。現代語特に喋り言葉とは程遠い。とは言うものの、各々の地方の地付きの人達の話し言葉は、聞いても分らないものが多い。そもそも方言は文字にならないものが多い。真似して覚えるのには大分時間が必要となる。それに比し古典音読は、いくつかの法則を知れば、その言葉の文字をしっかりと立てて読めば読めるし、意味も分かってくる。物によっては五百年、千年前の日本人の喋り言葉が分り、過去とのつながりがリアルになる。目読み、黙読では分らない、我々の宝に触れることが出来る。

磯貝メソッドでは、過去、現在、未来を声で往き来しようとしている。

磯貝靖洋

(2016.8.4 表現・話し方講座 レッスンデータメモより)

 

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