人の声は、日常生活で良くも悪くも変ります。
うれしい時、楽しい時は、明るい通る声に。
怒鳴ったり、大声を出し過ぎたり、風邪を引いたりすると、当然悪く変ります。
ひどい時は喉の痛みが続き、もっとひどいと、ガラガラ声の人生になります。
生き物である人の声は時々刻々変わります。
しかし、大方の日本人はその変化を大雑把に捉えて生活しています。当然声のことを訓練していませんから、自分の思い、気持ちなどの心のわずかな変化を、自分の声で聞く人にうまく伝えられません。
その挙句に“場を読め”“空気を読め”などと、ますます訳の分りにくい方向に走っています。
声の訓練とは、生活上自動的に濁って行く声をクリアに保つこと、聴き取りやすくする訓練のことです。また、中年以降はエネルギーが低下するので、声が通らない、届かない、となり、それを防ぐのも大事なことです。
言い方を変えると、“声を訓練する”ということは、
放っておくと悪くなる声(悪く変わる)を、少しでも良い状態に保つ(良く変える)ことです。
もちろん、俳優さん、声優さん、歌い手さんなどは、声そのものを常にみがき、どんどん良くする(良く変える)のも仕事です。なぜなら、声が資本の仕事なのですから。
磯貝 靖洋