講座レポート 5月3日 「平家物語」

『今日の平家物語』
「阿古屋之松」
成親は児島に流され、子の成経も備中国に流された。成経は父を案じ、児島(備前)と備中の距離を尋ねたが、十二、三日も掛かると言う。かつて、藤原実方が阿古屋之松を訪れた時、陸奥が陸奥・出羽に分離していたことを思い出し、備前・備中も昔は一国だったから近いはずと感じたが何も言えない。
 
『母音を整える』
「阿古屋之松」の母音(あおあおあう)を整えます。受ける人が聴きやすい、美しい響きの母音を追求しました。ひとりひとりの身体が違うように、口の中や舌も違うので、其々の修正・矯正が必要です。丁寧な調整の後の詠みは、音の粒が揃い、音の透明度が増し、心地よい響きとなりました。日頃から、緻密な練習をしたいと感ずる講座でした。 
 
 
文:井上慶子