『響きを聴く』
近況報告を、メトロノーム(1秒1拍)に合わせて、一音ずつゆっくりと話してみます。普段、いかに無造作に声を出しているか、早口になっているかがわかります。メトロノームに合わせた声は口腔内でしっかり準備ができているので、明瞭で澄んだ声でした。
「全身さすり」と「耳ストレッチ」を経て、「ハミングのトレーニング」です。頭蓋骨、背骨、肩甲骨、骨盤、尾骨の順に、骨に響く声を探します。僅かな振動を骨に感じられた時、息は吐きすぎていないことに気づきました。母音のハミングでは、母音が変わった時に響きが変わらない事、自分の出した声の響きを聴いて次の音に繋げる事を実習しました。「響きの声」の探究はまだまだ続きます。
『今日の耳トレ語録』
・自分の音波(ハミング)で全身をマッサージする
・自分の母音の響きを聴く
文:井上慶子
レポート
講座レポート 6月26日 「聴き方・耳トレ(木曜)」
『自分を気のボールの中に置く』
手のワークで、「信ずること・意識」が身体に大きく影響することを実感した後、「気」の実践を行いました。まずは、卓球玉の空間を手で丁寧に作ります。出来た空間に、僅かな引き合う力を感じました。次に、「気のボール」を自分の身体を包み込むまで、徐々に大きくします。気に包まれた身体は心地よく、外から守られているようです。更に、「全身さすり」で身体が緩み、身体の内部が暖かくなるのを感じました。
身体の状態が整った後のハミングは、まるで身体内側に広い息の通り道があるようで、楽に声がでました。舌も自由で弛緩しているのがわかりました。
『今日の耳トレ語録』
・言葉を追った時点で、響きはなくなる
・響きの音が出ている時は、舌根と顎は緩んでいる。
文:井上慶子
講座レポート 5月31日「平家物語」
『今日の平家物語』
「大納言死去」
成経・俊寛・康頼は薩摩潟の鬼界が島に流され、成親は出家する。情け深い侍(信俊)が成親を尋ね、北の方の手紙を届けたが、ついに成親は惨殺された。北の方も出家し、夫を弔う。
『ひとりひとりの課題を克服する』
課題克服のポイント。
・明瞭な母音を確立し、その上に子音を乗せる。
・息の流れを止めない。句読点で流れを止めない。
・言葉の持つ色やリズムを捉えて詠む。
母音の修正により、言葉がはっきりと安定して澄んだ響きが生まれました。響きの言葉の連なりは、静寂の時にも響きの余韻を残し、心地よい空間が広がりました。
更に、息の流れが伝わる言葉を作ると感じました。
『今日の平家語録』
・磯貝メソッドの平家物語語りを作り上げる。
文:井上慶子
講座レポート 5月22日 「聴き方・耳トレ(木曜)」
『母音の響きを骨で捉える』
「全身さすり」で心身の緊張を緩め、「手のワーク」で集中力を高めた後、母音トレーニングです。各々の氏名の母音読みに全員で取り組みます。力んだ身体からは響く声は生まれません。また、息が流れなければ響きません。トレーニングを進めるうちに、徐々に骨に響く感覚を掴み、仲間と声を合わせる事で、更に響きが増幅されて心地よく感じました。
講座の最後には、谷川俊太郎作の「うしのうしろ」に挑戦しました。ウ音が沢山出てくる詩でしたが、母音が整い、柔らかく暖かみのある音声で、スムーズな流れで読むことができました。
『今日の耳トレ語録』
・「苦手・出来ない」の意識を、「得意・出来る」に変換する。
文:井上慶子
講座レポート 5月3日 「平家物語」
『今日の平家物語』
「阿古屋之松」
成親は児島に流され、子の成経も備中国に流された。成経は父を案じ、児島(備前)と備中の距離を尋ねたが、十二、三日も掛かると言う。かつて、藤原実方が阿古屋之松を訪れた時、陸奥が陸奥・出羽に分離していたことを思い出し、備前・備中も昔は一国だったから近いはずと感じたが何も言えない。
『母音を整える』
「阿古屋之松」の母音(あおあおあう)を整えます。受ける人が聴きやすい、美しい響きの母音を追求しました。ひとりひとりの身体が違うように、口の中や舌も違うので、其々の修正・矯正が必要です。丁寧な調整の後の詠みは、音の粒が揃い、音の透明度が増し、心地よい響きとなりました。日頃から、緻密な練習をしたいと感ずる講座でした。
文:井上慶子