『自分を気のボールの中に置く』
手のワークで、「信ずること・意識」が身体に大きく影響することを実感した後、「気」の実践を行いました。まずは、卓球玉の空間を手で丁寧に作ります。出来た空間に、僅かな引き合う力を感じました。次に、「気のボール」を自分の身体を包み込むまで、徐々に大きくします。気に包まれた身体は心地よく、外から守られているようです。更に、「全身さすり」で身体が緩み、身体の内部が暖かくなるのを感じました。
身体の状態が整った後のハミングは、まるで身体内側に広い息の通り道があるようで、楽に声がでました。舌も自由で弛緩しているのがわかりました。
『今日の耳トレ語録』
・言葉を追った時点で、響きはなくなる
・響きの音が出ている時は、舌根と顎は緩んでいる。
文:井上慶子
レポート
講座レポート 5月31日「平家物語」
『今日の平家物語』
「大納言死去」
成経・俊寛・康頼は薩摩潟の鬼界が島に流され、成親は出家する。情け深い侍(信俊)が成親を尋ね、北の方の手紙を届けたが、ついに成親は惨殺された。北の方も出家し、夫を弔う。
『ひとりひとりの課題を克服する』
課題克服のポイント。
・明瞭な母音を確立し、その上に子音を乗せる。
・息の流れを止めない。句読点で流れを止めない。
・言葉の持つ色やリズムを捉えて詠む。
母音の修正により、言葉がはっきりと安定して澄んだ響きが生まれました。響きの言葉の連なりは、静寂の時にも響きの余韻を残し、心地よい空間が広がりました。
更に、息の流れが伝わる言葉を作ると感じました。
『今日の平家語録』
・磯貝メソッドの平家物語語りを作り上げる。
文:井上慶子
講座レポート 5月22日 「聴き方・耳トレ(木曜)」
『母音の響きを骨で捉える』
「全身さすり」で心身の緊張を緩め、「手のワーク」で集中力を高めた後、母音トレーニングです。各々の氏名の母音読みに全員で取り組みます。力んだ身体からは響く声は生まれません。また、息が流れなければ響きません。トレーニングを進めるうちに、徐々に骨に響く感覚を掴み、仲間と声を合わせる事で、更に響きが増幅されて心地よく感じました。
講座の最後には、谷川俊太郎作の「うしのうしろ」に挑戦しました。ウ音が沢山出てくる詩でしたが、母音が整い、柔らかく暖かみのある音声で、スムーズな流れで読むことができました。
『今日の耳トレ語録』
・「苦手・出来ない」の意識を、「得意・出来る」に変換する。
文:井上慶子
講座レポート 5月3日 「平家物語」
『今日の平家物語』
「阿古屋之松」
成親は児島に流され、子の成経も備中国に流された。成経は父を案じ、児島(備前)と備中の距離を尋ねたが、十二、三日も掛かると言う。かつて、藤原実方が阿古屋之松を訪れた時、陸奥が陸奥・出羽に分離していたことを思い出し、備前・備中も昔は一国だったから近いはずと感じたが何も言えない。
『母音を整える』
「阿古屋之松」の母音(あおあおあう)を整えます。受ける人が聴きやすい、美しい響きの母音を追求しました。ひとりひとりの身体が違うように、口の中や舌も違うので、其々の修正・矯正が必要です。丁寧な調整の後の詠みは、音の粒が揃い、音の透明度が増し、心地よい響きとなりました。日頃から、緻密な練習をしたいと感ずる講座でした。
文:井上慶子
【レポート】4/10俳優・声優「台詞の声*間と距離と表情」チェック&ワークショップ
先日開催いたしました、4/10俳優・声優向け「台詞の声*間と距離」 チェック&ワークショップの様子をレポートします。
講師:磯貝靖洋 館林敦士
助手:蔭山佑次 益田喜晴 竹元恵美子
今回はこのシリーズ4回目、テーマは「間と距離」でした。
○午前の部 ≪チェック≫
テキストを使い各個人の現状をチェック
○午後の部 ≪ワークショップ≫
①IM身体法
②テキストを用いて台詞を実際に声に出して練習
(テキスト 三島由紀夫「近代能楽集より“葵上”」)
【講座内容】
・参加者それぞれの現状を、テキストを声に出してよむことでチェックをする。
そして、午後のテキスト「葵上」を声に出して練習するときに、一人一人どこに注意して取り組めばよいかアドバイスがされた。
・IM身体法で声を出す身体にセットアップする。
・続いて三島由紀夫の作品についての講義。
「実と虚」を行き来する作品には自分との距離が必要である。その為にも「私読み」をしないことが大切である。
・テキスト練習。
男女ペアになって掛け合いをする。お互いどう感じたか感想を言い合いながら練習を続ける。
・テキスト発表会。
最後に、今回練習した台詞の掛け合いをペアで行う。
【参加者の声】
・外から出す台詞という感覚が初めてわかった!
・自分の課題がはっきりわかった!
・わからなくなった・・。
【担当助手感想】
俳優・声優の台詞の声シリーズの最終回であったので、磯貝メソッドが初めての方には少し難しいと感じる講座内容であったかも知れませんが、声に特化した磯貝メソッドの経験がある人には、逆に「なるほどな」と実感できる講座内容であったように思います。
「自分の想いを出すのが台詞ではない」ということを改めて実感しました。
今回のシリーズは午前中、参加者一人一人の「声・ことばチェックとアドバイス」が行われ、自分の特徴、課題を理解した上で台詞読みに入っていくという贅沢なワークショップでした。「自分の声を知る」ということは、俳優・声優、声の仕事に関わるものにとって、とても重要なことです。磯貝メソッドでは、ボイスチェックを年に数回行っています。興味がある方はそちらの方にも是非、ご参加ください。「目から鱗」です・・・。
1月から4回にわたって行いましたチェック&ワークショップはひとまず終了いたしますが、7月から月1回日曜日に始まります月1芸能表現クラスでは、7/10,8/14 の2回で「狂言」を学びます。
20160420
文責:竹元恵美子