【コラム】「祈るということ」

祈りとは、全てを開き一点と向き合い、向こうからやってくる事を、いつまでも待つことである。

黒人霊歌は祈りの歌である。“どうにもならない”人たちの魂の歌である。
いまは、物質に恵まれ、“どうにでもなる”中で生きている。
米国人も日本人も、私もあなたも。
黒人の彼等は祈って歌った。神に魂の救いを願い祈って歌った。
それしか救われる方法がなかったから。

だから黒人霊歌はすごかった。
‘By and By’も‘Peter,Go Ring-a Dem Bells’も‘Swing Low,Sweet Chariot’も、
その他、沢山の彼等の歌達…。

1800年頃から比べると今は表向きは自由で豊かだ。
現在(いま)の黒人霊歌には祈りが少ない。
もしあったとしても、その祈りは心の祈りであって、魂の祈りではない。

人は豊かになると、魂を生きることは出来難くなるのだろうか。
それにしても私達は日常的に祈る事をしなくなったと思う。


磯貝 靖洋